珍獣日記
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ぴあの
体育館のピアノはカバーをかぶっていて、カバーはほこりをかぶっていました。
薄暗い舞台の端で黙ったまま、じっと耐えているようでした。

手は、ここにあるのに。
さわっちゃいけないんだってさ。
ゴメン。

あなたの時間、わたしの時間。
何度もすれ違うだけの、交わらない線。

「がんばってね」
背中をぽん、と叩くように。
ざらついたカバーは冷たかったけれど。

喝采を浴びることだけが、喜びじゃない。
満たされ続けることは、幸せじゃない。

理屈だけならいくらでも並べられるから。
あとはわたしがいっしょに泣いてあげる。

がんばってね。
胸のなかでこだまする。

みんないっしょに、今日もひとりで、歩く。
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