珍獣日記
ペダル
さつきがふわり
自転車の上
ふり向いて遠ざかる
まぶしい光
季節が駆けていく
ペダルを踏み込む
風がわらう
雲間に飛び込む
水色の空
どこまでも行ける
歌うことばに乗って

スポンサーサイト
びいいい と
夜の虫
しばらくぶりにそのざわめきを
思い出したよ

もういいかい と
次の季節
だけど桃色の雨を
見届けていないから

まだ早いよ
もうすこし待っていて
おいて行かないで

さくらさくら
さよならも待たず
夏の声

時計
時計がまわる
正しいリズム
少しも乱れず間違いもなく
時計がまわる
まわるまわるまわる
時計にぶらさがる
遠心力で浮かぶ
ぐるぐる浮かぶ
手を離せば遠くへ
時計がまわる外側
無感動に放り出される
さよなら世界さよなら世界
もう孵らない
夜の果てまで
風になって空になって
大気になって星になって
太陽をまわる
まわるまわるまわる
少しずつ遠くなる
手を離せば何億光年

時間です と
ホイッスル
歪な檻の中

ほふくぜんしん
夕暮れにはまだ早い、日の長くなった帰り道。
雨上がりの草むらの中を、何かがもぞもぞほふく前進していました。

近づくとそれは雀で、土の中の何かを探しているようでした。
鳥だからっていつもいつも飛んでるわけじゃないんだ。
そりゃそうだよね。

だけどなんだかかわいくておかしくて、笑ってしまってごめんなさい。
ありがとう。

春の光はあたたかくてやわらかくて、暗闇に灯りがひとつひとつともされていくようです。
冬が嫌い、なんてことはないけれど。
別れはすぐにやってくるとしても。
そばにいて、咲いている。
それだけで今日も走って行ける。

人だからっていつもいつも泣いてるわけじゃない。
笑って跳ねて今日ももぞもぞ、生きるよ。