珍獣日記
かえる
たろうさんがいない。
死んだかな。

かえるのたろうさんは毎年やってくる。
ひまわりのところや、トマトのところにいたりする。

ベランダでは干からびそうだと思って、地面まで連れて行ったけど、
次の日にはまた、来ていた。

夜に電気を付けるから、ご飯が食べやすいのかな。
草むらの方が似合うけど、君がしあわせならそれでいい。 

小さくて丸い、かわいい手。
近づくとすぐに逃げられてしまうけど。

人間も、ただ好きなだけで満ち足りることが、いつかできるだろうか。
泣かずに見送ることができるのは、ちがうのだろうか。

わからないことを考えては、今年も夏が暮れる。
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後ろ姿
今年花が咲いて
あたしは泣いた
境界線が溶けて
風が胸に触れる
いつか赤い夕陽に
息が止まるとおもう

せみがねぼけてる
歌いたくてねむたくて
小鳥が笑ってる
頑張らなくちゃ
だってとうとう
見つけてしまったの
夏の後ろ姿

あのひまわりは
ずっと知っていたのね
あたしはやっと
あなたに触れられる
嬉しいわ
悲しいね
あいしてるわ

振り向かない夏を
またおはようと始める
せみの声に紛れて
青空を呼ぶ
あたしの声
胸に

月夜
月のない夜は遠い暗闇にぽつぽつと星が浮かぶ。

惹かれたらきっと吸い込まれてしまうだろう。


月の夜には空がある。

やわらかな風にうっとりと流れる雲が描かれている。

天に抱かれてふわふわと眠る、夏。