珍獣日記
わがままな手
花の命は人のもの、と。
おおきなはさみでパチリと切り取る、幼子がほほえむ。
葉と球根になっても生きている。
茎と花でも生きている。
ただひとつのはずの命は、ふたつになった。
痛かったであろ
さみしかろ
きらきらと咲く花瓶の前で、詫びの言葉は宙ぶらりん。
君がいなくても生きられるのに。
君がいると嬉しいから、ぼくはかなしい。
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朝陽はすきですか
コーヒーはきらいですか
ねむいですか

いそがしい日はありますか
ねこはすきですか
わらうのじょうずですか

花をそだてたいですか
何色がすきですか
花束もらったことありますか

楽器を習っていましたか
うたうことはすきですか
おともだちはどこにいますか

どうしてここにいるのですか
あなたはだれですか
なまえはなににしますか

おしゃべり聞いてもいいですか
ときどき聞いてくれますか
手を つないでいいですか


4/15  歌

桜満月
満月が花見に来ている。
夜明けの桜ほどきれいなものはない。
まちこがれた春。

つい先日までつめたい色をしていた空が、甘い声で呼んでいる。
あれの腕のなかは、とろけるようにあたたかいだろう。

ももいろに染まってゆく大地を愛でる。
あらゆる生き物やそうでないものを、ゆったりと見守る。

そのようなものになりたい。
せめてそのような人でいられたら。

花を月を今は、見上げるばかりだけど、
あらゆるものを、恋しく見上げるばかりだけど。