珍獣日記
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ああ生きてると思うだけで
むねがぎゅっとふるえる
きみはそれほど罪深い
きみが思うよりもずっと

流れて戻らぬせせらぎの
かすかな音さえ惜しまれて
遠い旅路を駆ける背を
枯れることのないようにと

繋いだ手をじっと見つめて
ただこぼれ落ちて消えてゆく
あいのことばを掬いとる

ひとりじゃない
とわじゃない
ここにいる
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弥生
まだつぼみ
砕ける雨粒
さみしかろ
わずかな灯り
咲けば散るのに
トケイ
青くてちいさな時計を買った
安くて軽くておもちゃのような
ちゃんと普通に動いているのと
ついつい心配するような

それでも気付けばこぼれおちてくる
かちかちかわいい鼓動が響く
わたしのしらないあいだにひとりで
うたをうたってわらってる

とけるように過ぎていく日々も
この子がこうして音をたてながら
崩れていくならいいかもなって

青くてちいさな壁時計
羽をもたないわたしのことり
ずっとずっとそばにいて

今日
星のない夜空を
何の色だろうと
不思議そうに見上げる
満月に似た頬を
月か饅頭か何にせよ
微笑まずにはいられない
何もない日を
今日というだけの日を
朝起きて
洗って掃除して洗って掃除して
あのこにごはん
このこにごはん
小さいのから
けっこう大きいのまで
おなかをすかせた子を連れてきたら
そのこにも
だってかわいい
みんなかわいいの
困ったこともなくはないけど
おかげさまでぼろぼろだけど
生きてる甲斐があるわ

自分らしきものの名前をさげて
目が合うとわらう
晴れ時々おしゃべり
雪が降っただの豆腐がうまいだの
なかみは実は何だっていい
猫の手だけどよかったら使って
にくきゅうぷにぷにしてよ
あなたのすきなわたしの輪郭は
星とつないだ赤い糸だと
おもうようなおもわないような

たぶんくだらないとよばれることに
いちいち夢中になって
それでだめだと言われる理由に
うなづくことができないうちは
走って転んでがらわらってる
よぞらの底で泣いてる

そうやって同じようにくりかえす
毎日とか毎日
ありがとう
生まれてきてよかった
そういうふうにきっと
みえると思うしそうだと思う

今日もだいすきなあなたへ
おやすみなさい


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